2025年も様々な補助金が出ていますが、補助金によってその目的や対象、補助金額は異なります。補助金の目的に合った事業を計画し、書類を提出した後、審査を受けることで補助金が受給できるかどうかが決定します。現在企業が使える最新の補助金には以下の8つが挙げられます。売上規模や投資規模によって申請できる補助金も異なります。今回はこの8つの補助金についてご紹介します。
1.中堅・中小成長投資補助金
2.中小企業成長加速化補助金
3.事業承継M&A補助金
4.ものづくり補助金
5.省力化投資補助金
6.新事業進出補助金
7.IT導入補助金
8.小規模持続化補助金

参照元:経済産業省 ミラサポplus 人気の補助金
①中堅・中小成長投資補助金
中堅・中小成長投資補助金とは
中堅・中小成長投資補助金とは、中堅・中小企業が人手不足の課題を省力化等を行うことで対応し、事業規模を拡大していくことを目指して行う大規模投資の一部を支援することで、地方における持続的な賃上げの実現を目的とした補助金です。
補助金の活用例として、
・精密電子機器を製造する会社が新工場を建築することで、複数の製造拠点を1か所に集約し運搬時間・コスト削減を図り省力化を行う。
・総合建設を請け負う会社が自動溶接システムを導入することで、自動化し生産性向上を図る。
・薬品製造会社がソフトウェアと連携した生産設備を導入することで、生産工程の一括管理を行い、効率化を図る。
などが挙げられます。
補助対象者
10億円以上の投資を行う中堅・中小企業
補助額
補助額最大50億円 補助率1/3以下
補助額は投資額などによって異なります。補助率は1/3以下となります。
補助対象経費
建物費・機械装置費・ソフトウェア費・外注費・専門家経費
②中小企業成長加速化補助金
中小企業成長加速化補助金とは
中小企業成長加速化補助金とは、賃上げへの貢献、輸出による外需獲得(海外からの需要獲得)、地域経済への波及効果が大きい売上高100億円を目指す中小企業の大胆な投資を支援する補助金です。売上高100億を目指すとは、100億宣言のサイトに売上高100億を目指すことを宣言していることを指します。
補助金の活用例として、
工場や物流拠点などの新設・増設、生産性向上ための設備導入、自動化のための設備投資などの大規模投資などが挙げられます。
補助対象者
直近の売上高が10億円以上100億円未満であり、100億宣言を行っている中小企業者
補助額
補助額最大5億円 補助率1/2
補助額は投資額などによって異なります。補助率は一定の1/2となります。
補助対象経費
建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費
③事業承継M&A補助金
事業承継M&A補助金とは
事業承継M&A補助金とは、事業承継をきっかけとして新しい取り組み等を行う中小企業等や、事業再編、事業統合の際の経営資源の引継ぎを行う中小企業等を支援する制度です。
補助金活用の活用例として、
・父からケーキ販売店を承継する前に、新たにイートインスペースを併設し事業拡大を図ることで事業承継の効果を高める
・清掃会社が別の清掃会社に承継を行う際、専門家のアドバイスを受けながら経済資源の引継ぎを行うことで、円滑な事業承継を実現する などが挙げられます。
補助対象者
中小企業、個人事業主
申請枠
事業承継M&A補助金では以下の4つの枠が設けられています。事業承継・M&Aを行う前の支援として事業承継促進枠、行っている途中の支援として専門家活用枠、行った後の支援としてPMI推進枠が設けられています。
事業承継促進枠 | 2025年9月19日~2030年9月18日までの5年以内に親族内承継又は従業員承継を予定している企業で、事業承継前の、設備の更新による生産性の向上や、デジタル化の導入による業務の効率化、新商品・サービスの開発などの企業価値を高める取り組みにかかる費用の一部を補助。 |
専門家活用枠 | M&Aを実施し、経営資源を譲渡(売り手)または譲受(買い手)を行う事業者を対象としており、専門家を活用してこの経営資源の引継ぎを行う場合に発生する専門家経費の一部を補助。 |
廃業・再チャレンジ枠 | M&Aで事業を譲り渡せなかった事業者が、現在の事業を廃業し、新たな法人を設立したり新たな事業活動を行ったりするために、既存事業を廃業する場合にかかる経費の一部を補助。 |
PMI推進枠 | M&Aを行った後の事業再編・事業統合(PMI)を実施するにあたって、専門家に相談したり、事業を一体に運営するための設備投資を行ったりする際に発生する費用の一部を補助。 |
補助額
補助額最大2000万円 補助率1/3~2/3
補助額は申請枠や類型によって異なりますが、補助率は1/3~2/3の間で設定されています。
補助対象経費
店舗・事務所などの工事費、機械器具費、弁理士費用、専門家経費、廃業支援費、在庫廃棄費、解体費など
④ものづくり補助金
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金とは、中小企業・小規模事業者が働き方改革や賃上げなどの制度変更に対応するため、革新的な(地域や業界で初の)新製品・新サービスの開発や海外需要開拓(海外へ輸出する製品・サービスの開発)のために必要な設備投資の一部を支援する補助金です。
補助金の活用例として、
・地ビールの製造を行っていた会社が、搾汁設備を導入しヤマブドウを使った新規製品の開発を行った
・農業機械部品の組み立て事業を行っていた会社が、生産管理システムを導入しラジコン型草刈り機を開発した
などが挙げられます。
補助対象者
中小企業、小規模事業者、個人事業主
申請類型
ものづくり補助金には、製品・サービス高付加価値化枠とグローバル枠の2つの枠が設けられており、それぞれ要件が異なります。
製品・サービス高付加価値化枠 | グローバル枠 |
革新的な(地域や業界で初の)新製品・新サービスの開発のために必要な設備を導入する事業者 | 海外事業(海外や訪日外国人をターゲットとした事業)を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備を導入する事業者 |
補助額
補助額最大 4000万円 補助率1/2~2/3
補助額については従業員数や申請枠によって異なります。補助率は1/2~2/3の間で設定されています。
補助対象経費
機械装置・システム構築費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連費、外注費、クラウドサービス利用料など
⑤省力化投資補助金
省力化投資補助金とは
省力化投資補助金とは中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするため、人手不足を課題としている中小企業等を対象として、省力化に繋がる設備等の導入を支援します。カタログの中から製品を選ぶカタログ注文型と、オーダーメイド製品を導入する一般型の2つの型に分かれています。
カタログ注文型
省力化補助金 カタログ注文型とは
IoTやロボットなどの生産性向上に効果的な汎用製品を「製品カタログ」から選択・導入することで、省力化(業務量削減・作業時間削減)を行い、中小企業等の付加価値(営業利益+人件費+減価償却費)や生産性の向上、さらには従業員の賃上げに繋がることを目的とした補助金です。
補助金の活用例として、
・飲食業で配膳ロボットや券売機を導入する
・宿泊業で自動精算機や自動チェックイン機を導入する
・製造業でプレス用ロボットや鋳造用自動注湯機を導入する
などが挙げられます。
補助対象者
中小企業、個人事業主
補助額
省力化投資補助金のホームページの製品カタログに登録されているIoT・ロボット等の人手不足解消に効果のある汎用製品。例えば、自動精算機、溶接機、搬送ロボット、複合加工機など。
一般型
省力化補助金 一般型とは
IoT・ロボット等の人手不足に効果のあるデジタル技術等を活用したオーダーメイド製品を導入し、省力化(業務量削減・作業時間削減)を行い、中小企業等の付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)や生産性向上を図ることで従業員の賃上げに繋がることを目的としています。機械装置またはシステムの導入が必須となります。
補助金の活用例として、
・製造業で自社の製造作業に合わせたオーダーメイドの協働ロボットを導入
・建設業で自社の作業工程に合わせたオーダーメイドの施工管理システムを導入
などが挙げられます。
補助対象者
中小企業、小規模企業者、個人事業主
補助額
補助額最大 1億円 補助率1/3~2/3
補助額については従業員数や投資額などによって異なります。補助率は1/3~2/3で設定されています。
補助対象経費
機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用料など
⑥新事業進出補助金
新事業進出補助金とは
新事業進出補助金は、中小企業等が既存事業と異なる事業分野に挑戦し、新市場(一般的な普及度や認知度が低いもの)または、高付加価値事業(他社の製品と比べて高品質・高単価で顧客が価値を感じるもの)への進出を後押しすることで、企業規模を拡大し売り上げを上げていくことで結果的に賃上げに繋げていくことを目的としています。
例えば、
・自動車部品の製造を行っていた事業者がその技術を活かして、新たに半導体製造装置の部品製造に取り組む
・注文住宅の建設を行っていた事業者が木材の知識を活かして、新たにオーダーメイドの木材家具の製造に取り組む
などが挙げられます。
補助対象者
中小企業または個人事業主であり、以下の3つの要件をすべて満たす事業計画を立てることが必須条件となっています。
1.製品等の新規性要件 | 新たに製造する製品等が、新規性を有するものであること |
2.市場の新規性要件 | 新たに製造する製品の市場が、新たな市場(既存事業とは異なる顧客層)であること |
3.新事業売上高要件 | 新たな製品等の売上高(又は付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費))が、応募申請時の総売上高の10%(又は総付加価値額の15%)以上となること |
※ここでの「新規性」とは、中小企業にとっての新規性であり、世の中における新規性(日本初・世界初)でなくて良いとされています。
補助額
補助額最大 9000万円 補助率 1/2
補助額については従業員数や投資額によって異なります。補助率は一定の1/2です。
補助対象経費
機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費など
⑦IT導入補助金
IT導入補助金とは
IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者の生産性向上を目的として、デジタル化やDX化のためのITツール(ソフトウェアなど)の導入を支援する補助金です。補助対象となるITツールは、補助金ホームページに記載されているものになります。
補助金の活用事例として、
・飲食業でセルフオーダーシステムを導入し、人手不足の解消、回転率の改善を図る
・建設業で工事原価作成システムを導入し、作業効率化と利益率アップを図る
・製造業で会計システムを導入し、経理業務の負担削減を図る
などが挙げられます。
補助対象者
中小企業または小規模事業者
申請枠
通常枠 | 事業をデジタル化することを目的として、ソフトウェアやシステムの導入を行いたい事業者 |
インボイス枠 (インボイス対応類型) | インボイス制度に対応した会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、PC・ハードウェアなどの導入を行いたい事業者 |
インボイス枠 (電子取引類型) | インボイス制度に対応した「会計」、「受発注」、「決済」のいずれかの機能を有するITツールを導入したい事業者 |
セキュリティ対策推進枠 | サイバー攻撃などのリスクに対処するため、ネットワークにおけるセキュリティ向上を行いたい事業者 |
複数社連携IT導入枠 | 複数の中小・小規模事業者と連携してITツールやハードウェアの導入を行いたい事業者 |
補助額
補助額 最大450万円 補助率1/2~4/5
補助額は申請枠や投資額によって異なりますが、補助額450万円以下、補助率1/2~4/5の範囲で設定されています。
補助対象経費
ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費、ITツール(会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフトなど)、ハードウェアなどのIT導入補助金のホームページに公開されているものが対象となります。
⑧小規模持続化補助金
小規模持続化補助金とは
小規模持続化補助金とは、小規模事業者が今後複数年にわたり直面する制度変更(働き方改革や賃上げ)に対応し、自社の経営を持続的にできるようにするために、販路開拓(新しい市場・顧客層などを開拓)や生産性向上の取り組みをする際にかかる資金の一部を補助するものです。
補助金の活用事例として
・写真館が新プランを開発し広告のためのチラシを作成し配布した。
・飲食店が新メニューを開発し広告のためのホームページを公開した。
・理髪店が出張理容サービスを始め、移動式のシャンプー台を導入した。
などが挙げられます。
補助対象者
小規模事業者
申請類型
小規模事業者持続化補助金では以下の5つの枠が設けられています。
一般型 | 通常枠 | 小規模事業者全員 |
災害支援枠 | 石川県、富山県、福井県、新潟県に所在する、令和6年能登半島地震及び、令和6年9月21日から23日の能登豪雨により被害を受けた小規模事業者 | |
創業型 | 創業後3年以内であり、かつ、商工会議所から「特定創業支援事業」の認定を受けた小規模事業者 | |
共同・協業型 | 企業の販路開拓を支援する機関が小規模事業者を10者以上集め、展示会や商談会を開催し、参加した事業者の販路開拓を支援する取り組みについて支援。 | |
ビジネス コミュニティ型 | 商工会・商工会議所の組織(青年部・女性部等)を対象として支援。 |
補助額
補助額最大250万円(共同・協業型は5000万円) 補助率2/3または定額
小規模事業者1者で申請する場合の補助額最大は250万円です。小規模事業者10者以上が参加することが要件である共同・協業型では、補助額最大5000万円となっています。
補助対象経費
機械装置費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会など出展費、資料購入費など