組織を活性化させるドラッカーのマネジメントとは?
マネジメントという言葉、皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。これはオーストリア人経営学者、ドラッカーが提唱したものですが、その定義はどんなもので、マネージャーが具体的に行うべきことはどんなものなのでしょうか。
今回はその一部をかいつまんでご紹介いたします。
ドラッカーのマネジメントとは
ピーター・ドラッカーは1909年にオーストリアに生まれ、後にアメリカに移住した経営学者です。「経営の神様」とも呼ばれ、世界中の企業人や経営学者に影響を与えました。
最も有名な著書「マネジメント」では、従来の全体主義的な組織の手法を改め、自立した組織について論じ、「成果をあげる責任あるマネジメントこそ全体主義に代わるものであり、われわれを全体主義から守る唯一の手立てである」と述べています。
ドラッカーによると、マネジメントは、組織の成果を上げさせるための道具・機能・機関と定義されています。また、マネージャーは組織の成果に責任を持ちマネジメントを実行する人と定義されています。
つまり、組織の成果を向上させるための道具や仕組みがマネジメントであり、企業が持つリソースを活用して成果を上げさせる責任を持つのがマネージャーであるとしているのです。
マネージャーが具体的に行うこと
それでは、マネージャーは具体的にどのような仕事をすれば良いのでしょうか。マネージャーに求められる具体的な仕事は以下の5つです。
目標の設定
ドラッカーは目標設定の重要性を説いており、マーケティング、イノベーション、資源と資金、マネージャーの仕事とその育成、一般従業員の仕事と行動、生産性、社会的責任、利益の8つの項目に関する目標を設定・管理して成果を上げさせることもマネジメントであるとも述べています。
目標設定で行わなければならないことは、日々の業務の中で、部下の適性に合った仕事を割り振り、一人ひとりが成長できるような目標を設定することです。
この時のポイントは、以下のようなものです。
・目標は高く
・妥当な期間で
・分かりやすく具体的な数字で
・新たな価値を創造できるように
目標を設定する際は、これらを踏まえた目標にすることが大切です。
また、目標は社長のようなトップマネジメントを行う経営者層のみが設定するものではなく、部長や課長のような中間管理者層、係長や主任のような監督者層でも、それぞれの組織において必要です。
組織づくり
マネジメントを行う中で、組織づくりも重要です。ドラッカーは「会議がなくても運営できる組織」が理想的な組織だと述べています。そのような組織をつくるためには、人的リソースを活用して組織として機能させる必要があります。限られた時間の中で成果を上げるためには、部下の弱みの部分を引き上げようとするのではなく、強みの部分を更に伸ばし、能力を最大限発揮できるようにするべきだとドラッカーは説いています。
組織づくりを行う際には、部下の強みに注目した人員配置や仕事の割り当てを行うことが大切です。
部下への動機づけとコミュニケーション
組織の成果を上げるためには部下のモチベーション管理も欠かせません。ドラッカーは著書の中で、「働くものが満足しても、仕事が生産的に行われなければ失敗である。逆に仕事が生産的に行われても、人が生き生きと働けなければ失敗である」と指摘しています。コミュニケーションは、ただの情報伝達の手段なのではなく、部下の望みを知り、それをかなえられる希望を持たせて動機づけを行えるチャンスなのではないでしょうか。
マネージャーは、部下が自ら考え行動し、目標達成に向かって仕事ができる意欲を引き出すような環境を作っていかなければなりません。
部下の評価
マネージャーは部下の評価も行わなければなりません。これは部下の目標設定を行い、達成度を評価することで、継続的に成果を上げていくための仕組みなのです。
この評価によって部下の給料や今後のキャリアも変わってきてしまうので、大変責任の重い仕事です。ですから、組織や部下個人の目標に対して、現在どのくらい達成できているのかという到達度を定期的に部下とともに振り返る、その際、問題点や改善すべき点、解決方法のすり合わせを行うことも必要です。
評価についてのコミュニケーションを円滑に行うことで、組織も個人も、より成長できるのではないでしょうか。
人材の育成
マネージャーには部下の人材育成という役割もあります。これは、ただできる業務を増やしていくというだけに留まらず、部下が自ら目標に向かって行動し、成長できるような指導も求められます。
そのため、部下の仕事内容をきちんと把握し、問題が起きたときにはその本質を明らかにして一緒に解決策を考え、実行し、検証していくなど、単に教えるだけではない育成も必要になってきます。
マネジメントのスキルを伸ばすには
マネージャーには多くの責任ある仕事があります。では、マネジメントのスキルを伸ばすためにはどのような力をつけていけば良いのでしょうか。例えば、以下の2点に気をつけてみるだけでも、良い効果が現れてくるかもしれません。
説明・説得するスキル
まず、部下に指示やアドバイスなどを分かりやすく伝えるスキルを伸ばすことが大切です。さらに言えば、ただ説明するだけではなく、部下にきちんと理解してもらう、納得してもらうことも必要です。
分かりやすく伝えるためには、例えば以下のようなポイントがあります。
・一文は短く、端的に
・結論を先に
・たとえ話やジェスチャーを交えて
・実物を見せながら
このような話し方に気をつければ、より部下に伝わりやすくなります。
指導するスキル
部下の能力を伸ばし、成長させていくための指導するスキルも伸ばしたいスキルの一つです。このスキルを伸ばしておけば部下の育成を効率的に行うことができます。
ここでの指導は、教えるというティーチングではなく、伸ばすというコーチングの性格が強くなります。そのため、部下の強みを見つけ出すことが前提です。
指導するスキルを伸ばすために、普段から以下のようなことに気をつけてコミュニケーションを行ってみてはどうでしょうか。
・部下の意見を頭から否定しない
・部下の話をしっかりと聴く
・相手を理解できるような適切な質問をする
部下はこういう人間だと分かったつもりで指導していたのでは、本当の強みを理解できないままかもしれません。一人ひとりに向き合って、部下の強みを正しく理解し、仕事を割り当てていく必要があります。
マネジメント力を伸ばして組織を活性化させよう
ここまで、ドラッカーのマネジメントの定義や、マネージャーが実際に行うべきことなどを紹介してきました。
マネジメントは社員が意欲をもって働ける環境をつくり、顧客ニーズに応えることで成果をあげられる仕組みのことです。
経営者や管理者だけでなく、一般の社員もマネジメント力を伸ばすことで、組織全体を活性化できるようになります。マネジメント力を伸ばし、生き生きとした組織に変えていきましょう。