僕は数多くの新事業、新サービスあるいは創業の相談を受けてきましたが、
その中でもこれから新事業や創業をされる方で同じ失敗をしてもらいたくないので、よくある失敗パターンをとりあえず今回は二つだけご紹介します。
それは、
1、自分のいいと思っているものを広めたい系の人
2、店舗ビジネスにおける立地ミスっちゃってる人
です。当たり前のことなんですが、意外と気づかずに本当によくやっちゃってるんで、これだけ強くお伝えしたく思います。
1、自分のいいと思っているものを広めたい系の人
自分の画期的なアイデアや新商品、新サービス系、はたまた、地域に埋もれてるいいものを売り出したい系の人がよくいます。これ、はっきり言って無理ゲーです。
たまーに当てる人もいますが、その表現のままにこれは博打です。人生一発勝負をかけるべきではありません。確率が低すぎます。人生かけると9割以上終わります。ビジネスプランコンテストで優勝とかしてるとかメディア出まくってる、みたいなビジネスも実は収益出てないケースが多くあります。目立ってる画期的なビジネスでも本当に成功しているのはほとんどありません。目立つ=成功ではありません。
自分がいいと思ったものが売れるのではなく、世間がいいと思っているものが売れるのです。例えば着物ってものがめちゃくちゃいいので、着物を普段着にしたい、と思って着物カジュアルアパレルのビジネスをはじめる人がいるとします。これの販売戦略を考えろったって無理です。僕はプロなんで考えていろいろやってみることは可能ですが、ほぼ売れないでしょう。
何となくみなさんもこれが売れないのはわかると思います。着物を普段着で着ませんよね。でも実はこのようなのはいくらでもあります、誰も知らないようなアニメのキャラクターを世の中に知らしめたい、はたまた自分が作った楽曲を世に知らしめたい、、このようなものと同レベルです。
しかし自分が思い浮かんだような新サービスや新商品になると突然盲目的になります。なぜか絶対成功すると思い込んでしまうのです。特にビジネスをやったことがない創業者に起きがちです。はたから見ればこの僕の初めて作った、他にはない新しい旋律の楽曲絶対売れると言ってるミュージシャンみたいなものです。音楽には売れるパターンの曲調が確立されています。初めての作曲で、しかも他にないような曲調を素人ながらに作ってみたとして売れることはほとんどありません。創業者の画期的なビジネスと言っているのはほぼこのパターンです。
しかも大概のアイデアはさほどすごいものではありません。これだけの人が日本中にいて、これだけビジネスをしている人がいて、大手企業も新しい事業を次々と行なっている中で、他に自分と同じアイデアを考えた人がいないわけがありません。それが今世に出ていないということは、ニーズがなくて本当に誰もやっていないか、すでに他の誰かが試して失敗して今残っていないだけのことが多いです。
このビジネス博打をして失敗する不幸な人を少しでも減らしたく、どうしようもないということを延々述べてきました。じゃぁどうしたらいいねんということで一つだけアドバイスするとしたら、売れているものを売るということです。
薄っぺらコンサルタントの、意味を履き違えた「中小企業はニッチを攻めろ」とか、中小企業は他にないものを高く売れ」という言葉に騙されてはいけません。人生終わりますよ。
逆です中小企業こそ流れに乗るんです。大手は大きい予算を取って広告宣伝や芸能人を使って流行を作っていくことができますが、中小企業はできている波にできるだけ早く乗るだけです。大手は動きが遅いので、「早く」「波に乗る」こと。そして、波が過ぎ去ろうとしていたら「早く」「波から降りる」こと。
太陽光パネルが流行り始めた時に、いち早く波に乗った中小企業は大儲けしています。タピオカが流行った時、いち早くタピオカをした人は大儲けしています。そして賢い社長はそれをすでに辞めています。今からやっても遅いですし、流行が終わるのを見越して早めに辞めるのです。
作曲したことない人がいきなり、自分独自のオリジナルメロディーを作ってそれを付加価値だと言って高く売ろうとしても、売れません(本当に天才でかつラッキーな人を除いて)。まずは売れている曲を参考にして作るところから始めてください。今や独自性の高い音楽を出してているアーティストも最初はそういうところから始めているはずです。ビジネスも同じですでに売れているものを参考にしてはじめるのが王道です。
売れているものにちょっとプラスオンして売るくらいが望ましいです。例えば自分が考えた創作料理で謎の画期的な料理を提供する店をいきなり出すじゃなくて、みんな大好きなイタリアン料理の店をすればいいのです。そこにちょっと他とは違う要素を付け加えるだけです。イタリアンだけど「立ち飲み」という要素で「俺のイタリアン」を出すみたいな感じでしょうか。これを差別化と言います。「差別化」や「ニッチ」という言葉が先行し過ぎて履き違えている方が多過ぎます。需要のないわけのわからないものをニッチと呼んで、確かにニッチかもしれませんが、商売にはなりません。
2、店舗ビジネスにおける立地ミスっちゃってる人
地元だからとか、あの地域は競合が多いからとか、物件の賃料が安いからとかで、本来狙うべき立地から外れてしまっている人、販促とかの力でもどうしようもないです。
店舗ビジネスは9割立地で決まると言われています。立地を間違えた時点でその店舗の収益が改善することが基本的にはありません。
まず地元に店を出したいという理由の方、それはそれでいいのですが、大前提としてニーズが十分あれば、です。人口がほとんどいないところでやっても当然来客は見込めません。サービスの内容がいくらよくでもです。
私は岡山市が地元ですが、このサービスは倉敷の方が売れると思えば倉敷に店を出すし、大阪東京の方が売れると思えばその土地に店を出します。当然のことです。
次に競合が多いからと言って他の地域に出店する方、僕の経験でもそういった方がおられました。岡山市に競合の店舗が多いので玉野市に出店したという方。これは玉野市が悪いというわけでは全くありませんが、本来岡山市に出して初めてビジネスの需要が見込まれるビジネスなのに玉野市に出してしまった結果売上が上がりませんでした。
競合が多いということはそれだけ需要があるということです。競合が少ないということはそれだけ需要が少ないということです。需要がないところに店を出しても当然人は来ません。例えばマクドナルドやスターバックスだって、需要がないところに出店したら収支が立たずすぐ撤退します。マクドやスタバが撤退するのにあなたのお店がなぜ成功するでしょうか。
最後に、賃料安いから少し外れたところに出すという理由の方、よくいます。変にリスクを避けて最低の結果を生むタイプです。例えば月30万出せば人通りの多いところに出店ができ少し離れると月20万で借りれるとします。少し離れても人が来るだろうという希望的観測で自分を納得させて安い方を借りたとして、
30万の物件は1日10組の来店、20万の物件は1日6組の来店だとしましょう。
1組1万円の売上とすると、それぞれ売上は
30万の物件 =10組×30日 = 300万
20万の物件 =6組×30日 = 180万
10万円の賃料の差が120万円の売上の差につながります。
30万円の方は毎月大きく黒字だけど離れた20万円の方は赤字なんてのはよくあります。変にリスクを避けて中途半端にした結果よくない結果をもたらしています。少しでもいい立地を抑えないといけません。
総じて言えば、収支が合いそうならそのビジネスが一番合う場所に出店する。これを難しくマーケティングとか言ってるんですが当たり前のことです。この当たり前ができていない人が多くいます。
ここで地域ビジネスについて
ここで、この店舗ビジネスの立地の話から派生して一つ言わせてください。
自分の生まれ育った地域のためみたいな想いでビジネスをはじめるのはいいことなんですが、地域貢献のために地域に店を出すんだって言って創業するのはどうもと思っています。
これを否定するわけじゃなくって、本当にその地域を思うならそもそも手段を間違えていると思います。
地域のためを思うなら地域の住人からお金を巻き上げてちゃいけませんよね。地域の方からお金をもらうんじゃなくて、地域の外から外貨を稼がないといけません。日本を地域と捉えるなら外国からお金を引っ張ってくる、岡山県を地域と捉えるなら他の県からお金を引っ張ってくる、岡山市を地域と捉えるなら他の市からお金を引っ張ってくる。これがその地域を潤します。
つまり、ど田舎に住んでる人が本当に地域貢献を思うなら、地域に店を出して地域の人からお金を巻き上げるんじゃなくって、本店登記は地元にしたままで、広島や大阪や東京に店を出してそこでしっかり利益を出す。それを納税なり何なり地元で金使うなどして地域に還元していく。地域貢献したいなら、自分の地域に店を出すのではなく、東京に店出すが正解です。
地元に飲食店がないようなど田舎だとして、そのど田舎で飲食店をやりたいって思うんだったら、そこで収支でないのわかってるんだったら他で収益出す事業をして、飲食店は儲からない前提でボランティアとしてやるのはいいと思います。けど、自分の一つ目のビジネスでその飲食店をやるべきではないと思います。
以上、僕が創業支援や販促支援を行なった経験から
それはどうにもならないでしょ、小手先の販売促進でどうこうというより
ビジネスモデル変えた方がええんちゃうというケースですが
本当によくあるので、ご紹介でした。ご参考になれば何よりです。